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日本人的迎合主義

September 9, 2020

 

 駄々っ子の幼児が泣き喚くのは、我を通せないことが原因だという。
コロナ禍によって世相は日に日に変わりつつあるように見えるが、それはいままで隠されていた人々の本性が現れているだけではないだろうか。

コロナストレス、コロナ疲れ、様々な言葉が生まれたが、中には過剰な行動を取る人もいるようである。
休業要請に応じない店をSNSで晒したり、110番通報したり、県外から来る車のナンバーを監視したり、嫌がらせをしたり・・
このような「不寛容」と「無責任」の文化は日本のお家芸であるように思う。芸能人が不倫すれば執拗に批判して謝らせ、公共の場ではタトゥーを隠させ、インターネットの犯人探し、書き込みによる炎上、そして自粛警察が幅を効かせる。

こういった光景は外国ではまず見られない。自粛警察もやはり日本だけに起こる現象のようである。
彼らはたとえそれが自分とは関係がなくても「許せない」のである。その不寛容さは「卑屈さ」からくると思われるが、どうして日本人はそれを克服しようとしないのだろうか。

土居健郎の「甘えの構造」にもあるように、西洋では幼児性は軽蔑の対象とされ、自立心が賞揚されるが、日本の場合はその逆で、自立心は軽蔑の対象となり、幼児性が受容される。

僕にはできないのに、なんであいつだけ、という論理が暗黙の内に受容される社会で育った我が日本の男子は、かまってもらえない幼児のごとく、自分が許せないがゆえに、他人を許することができないのだ。
こうして「甘え」に根ざした環境で育った彼らは、自信を失い、自分で判断することを怖れ、権威に萎縮し、他者に迎合することを是とする「大人」となり、自己を持つことを許さない、そんな風潮を作り出している。

日本人が外国人と接すると途端に萎縮する理由はここらへんにあるのではないだろうか。彼らは自立した人たちを「甘えのコミュニティー」に入れないよう非常な警戒をする。「助っ人外国人」なんて言葉は日本でしか使われない言葉だろう。

みんなが是と言えば是だといい、芸能人が何か言えば鵜呑みにし、価値も分からずブランドで身を包み、できもしない英語やカタカナを無理やり使おうとする。
お笑い、ドラマ、アイドル、タレントがもてはやされ、幼児性のないものは排除され、誇りを捨てられないものは干されてゆく。

 

ここまで巷に「愛」という言葉が氾濫した時代がかつてあっただろうか。「サザエさん」は受け容れらても、サザエさんの性生活やマスオさんの苦悩を描いた「現実」はタブーとされる。

 

誠実さと忠実さは対極のものである。自分自身に誠実であれば、他者に忠実であることはできない。また、他者に忠実でれば、どうしても自分に対して不誠実とならざるを得ない。

自分を偽り続けた代償を払うことになる彼らは、みじめな自己の弁明に追われ、イイネイイネ、カマッテカマッテと、傷を舐め合い、互いに首を絞め合い、自立心は摘み取られる。かくして、大人のように振る舞う子供たちと、子供のような大人たちで溢れかえり、みんなと一緒でないと何もできない「一人の大きな群衆」となった。

「日本はフランスと違って、父母が子供を過保護に育てるので、いつまで経っても、年をとっていても頭の中で性情が子供のままなのです。フランスのように、子供の頃から一人前の紳士淑女としては扱われないのです。ですから、いろいろとそういう生活の中に、子供のような考えが巣食っているのです」

丸山明広がこう綴ったのは、もう50年以上前のことである。


文芸(現実性)の役割は、人々を強迫観念から乳離れさせ、自立を促すものでもあるが、日本ではそれは拒絶の対象となるのだろう。昨今の禍いによりお客様化された人々が目を覚まし、日本に芸術が受け容れられる土壌が育つことを期待したい。

まっとうな人間にとってこの世はまっとうに見えるのだ。なぜなら連中は去勢された眼をしているからだ。ージョルジュ・バタイユ


その閉塞感はどこから来るのか、よくよく考えてみる良い機会ではないだろうか。

 

 

 

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